2020年11月21日土曜日

【曲目解説】プロコフィエフ 交響曲第1番「古典交響曲」

♯ セルゲイ・プロコフィエフ(1891-1953) 交響曲第1番 ニ長調 作品25 「古典交響曲」

 作曲者は、「ハイドンが現在生きていたならば作曲したような曲を書こうと思った」と述べていて、自ら「古典交響曲」と名付けました。楽器編成は、フルート2、オーボエ2、クラリネット2、ファゴット2、ホルン2、トランペット2、ティンパニ、弦5部となり、ハイドンやモーツァルトよりは大きく、ベートーベンの交響曲第2番、7番、8番と同じです。構成は4楽章形式で、第3楽章の舞曲はメヌエットではなく2拍子系のガボットにしている点は、「新しい」かも知れません。1917年、滞在先のホテルにてピアノなしで作曲され、翌年首都ペトログラードにて作曲者自身の指揮により初演されました。

第1楽章 Allegro 2/2 ニ長調
 序奏はなく、いきなりニ長調の主和音の分散和音でスッキリと始まります。「つかみ」はまさに「古典」ですが、それもここまでです。7小節目には6の和音になりこれは並行調の短調です。そして11小節目には禁じ手の並行五度によってハ長調になってしまいます。もはや「古典」ではありません。第二主題はファゴットの伴奏に乗って第一バイオリンで演奏されますが、古典時代の交響曲にはない高音域で書かれています。それでも「古典風」の趣きがあるのは、構成が簡潔でかつ終結部が古典的に終止しているからかもしれません。

第2楽章 Larghetto 3/4 イ長調
 4小節の序奏の後、プリマバレリーナがポアントで静々とご登場です。この楽章をゆっくりとしたメヌエットとみなすこともできます。中間部は弦楽器のピチカートとファゴットが16分音符で進行します。楽譜は3拍子のままフレーズは4拍子になっています。しかも半拍ずれて11小節半進行します。オーケストラが全奏になったところで3拍子に戻り、プリマバレリーナが再登場し、きらめく星粒を纏いながら静かに退場します。

第3楽章 Gavotta / Non troppo allegro 4/4 ニ長調
 短かくも美しいガボットで、中間部はファゴットとコントラバスのバッグパイプのような完全五度の持続低音に乗って、オーボエが田舎のおばさんのようにガミガミ対旋律を奏でます。再現部はすこしゆったりし、最後に件のプリマバレリーナが出てきて彼氏に接吻をするように終わります。

第4楽章 Finale / Molto vivace 2/2 ニ長調
 ハイドンの時代の様に音楽は明るく活気がなければならないという方程式に則った、快活なソナタ形式です。冒頭16小節は古典的な和声進行を見せますが、すぐにお得意のスライド式転調に入っていきます。ところが終わり30小節で属音の保持が始まり、最後の8小節は完全に古典的に締めくくっています。

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