2020年11月19日木曜日

【曲目解説】ハイドン 交響曲第6番 ニ長調 Hob. I:6「朝」

♯ フランツ・ヨーゼフ・ハイドン(1732-1809) 交響曲第6番 ニ長調 Hob. I:6 「朝」

 ハイドンが自作の交響曲に表題を付けたのは、この曲以外では第7番「昼」と第8番「晩」のみです。ハイドンが1761年にエステルハージ家の副楽長に就任した際に3曲セットで作曲したと言われております。楽器の編成は、フルート1、オーボエ2、ホルン2、ファゴット1と弦5部ですが、バイオリン、ビオラ、チェロ、コントラバスに独立したソロパートがあり、管楽器も含めたソロ群だけで演奏する箇所や、ソロ楽器が協奏曲のように演奏する箇所もあり、交響曲というよりは協奏交響曲や合奏協奏曲に近い内容です。何人かの楽団員もハイドンと同時期に新たに雇われたこともあり、新団員の腕前を披露する目的もあったのではないかと言われています。

第1楽章 Adagio 4/4 – Allegro 3/4 ニ長調
 短い6小節の序奏部を持ち、夜明けを思わせる雰囲気で曲が始まります。フェルマータの後は、フルートが快活なアレグロの主題を奏でます。この楽章のスパイスは再現部の前2小節で、ホルンがソロで冒頭の主題を歌います。これはテーマの再現にもかかわらず、主和音の確保がないため、予告信号にしか聴こえません。そしてその直後にフルートが冒頭の主題を歌い再現部に突入します。ベートーベンは、交響曲第3番「英雄」の再現部の直前に同じことをホルンにさせています。

第2楽章 Adagio 4/4 – Andante 3/4 – Adagio ト長調
 三部形式の緩徐楽章で弦楽器のみで演奏されます。バイオリンのソロが、弦楽合奏を背景に浮かび上がり、主部ではチェロのソロと絡み合います。そして再びアダージオに戻り、静かに曲を終わります。

第3楽章 Menuet 3/4 – Trio – Menuet ニ長調
 メヌエットはニ長調で明るく、また途中では管楽合奏だけになる箇所もあり、まさに合奏協奏曲の趣きです。中間部では一転して暗いニ短調になり、ソロのコントラバスとファゴットが絡み合い、ビオラやチェロのソロも加わりメランコリックな趣きになります。

第4楽章 Allegro 2/4 ニ長調
 フルートのソロで始まる快活なフィナーレですが、すべての管楽器に技巧的なソロがあり、バイオリンとチェロのソロ、ホルンのソリは協奏曲並みの迫力です。印象的なところは、提示部で1か所、再現部で2か所、リピートをすると合計で6回あるフェルマータです。  再現部にあるバイオリンの技巧的ソロのあとはカデンツァですが、それ以外の2か所は不穏な減七の和音です。それぞれD/F/Gis/HとCis/E/G/Bの和音です。何かが起こる予感が…。

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